からだの相談室 ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ 


カンジダを繰り返してます。なんとか完全に治したいのですが。
カンジダ菌というのは真菌(カビ)の一種で、これが腟に炎症を起こすとかゆくなります。一度治っても、かぜをひいたとき、膀胱炎になったとき、疲れたとき、あるいは妊娠中など、からだの抵抗力が低下したときによく再発します。

カンジダ菌は水虫の菌の仲間なので、これとよく似ています。完全に治すのは難しいけれど、放置しておいても、健康に害がでるというわけではありません。水虫と同じようにポピュラーな病気なのです。

つまりカンジダで困るのはかゆみとおりものだけ、「何に気をつければ、、、」「完全に治すには、、、。」などと深刻に考えるのでなく、「かゆくなったらまた薬を使えばいい」というくらいに、気軽に考えていてください。

カンジダを性感染症と書いてある本も見かけますが、これは間違いで、性行為と関係なく発生します。通常男性性器には繁殖しないので、夫の治療は必要ありません。
かゆみが起こるのは外性器ですが、カンジダ菌は腟の奥に繁殖しているので、腟の中に薬を挿入して治療します。腟錠は2つのタイプがあり、5〜7日間毎日挿入するものと、1錠で1週間くらい効果があるものとがあります。
腟の中に薬を入れるために通院する必要はありません。

婦人科の診察は一度も受けたことがありません。どんな診察をするのか心配です。
たとえば、子宮頚ガン検査について説明します。

子宮の入り口(子宮頚部)は、腟の一番奥の方につきでています。そこをブラシでこすり、子宮頚ガンの検査に必要な細胞をとります。このときに、子宮頚部の場所を確認するため、腟の中をみる筒のような器具(スペキュラム)を使います。スペキュラムを腟内に挿入して、腟や子宮頚部に病気があるか、ないかや、おりもや出血の様子を診るのです。それから腟に指を入れた状態で、お腹を触って子宮など内性器の状態や痛みの場所などを診察します。これを内診といいます。

ですから、パンティーを脱いでいただき、診察台にあがって、腟のなかを見せていただく必要があるのです。
内診がいやだから婦人科にはゆきたくないという女性は多いのですが、内診は婦人科の病気があるかないかを調べるために大切な診察です。
たしかに内診は、気持ち悪いことがあります。でもこれは、歯医者さんが口の中に指や器械を入れるのとおなじこと。歯の治療って、ちょっと気持ちが悪い、ときどき痛いこともありますが、恥ずかしいとは思わないでしょう?性器も口の中と同じで大切なところ。必要があるときは、きちんと診察を受けましょう。自分のからだなのに、性器だけ差別するのは悲しいです。
 
二十代の女性でも、子宮頸ガンになることがあります。お腹の上から診る超音波の機械もありますが、子宮頸ガンや性感染症は、これでは分かりません。
 
ただしセックスの経験がない女性には、子宮頸ガンの可能性は少ないので、大きな病気の可能性が少ないと考えられるときには、内診をせずに、お腹の上からわかる範囲の診察することもあります。

☆注) 通常「子宮ガン検査」というと子宮頚ガンの検査のことになりますが、子宮ガンにはもうひとつ子宮体ガンといって、子宮の奥にできるものがあります。子宮体ガンは、比較的年代の高い方に発生します。40代以上の方や原因不明の不正出血の続く方は、子宮体ガンの検査もしておいた方がよいでしょう。ただし、時には子宮の奥までチューブの入りにくい方もいますし、妊娠している可能性のある方には、子宮体ガンの検査はできません。

近々結婚の予定があるのですが、どんな検査を受けたらよいでしょう。
「結婚するから」とか「赤ちゃんを産むために」ということではなくて、自分自身が健康で過ごすために、月経のことやおりもののことや婦人科の病気のことに気を使ってほしいなと思います。
どんな検査が必要かは、人によって違います。

不正出血がある人や、おりものがおかしいなと思う人は、子宮頸ガン(場合により子宮体がん)の検査やおりもののカビや細菌、性感染症の検査が必要です。
月経不順の人や月経のことで心配がある人は、基礎体温をつけてもってきてくださると便利です。そのうえでホルモン値の測定などをします。

おなかが痛いとかおなかが張るとか、月経の量が多い、月経痛がひどい、などという方は、超音波の検査が必要です。(大きな腫れ物がある時はおなかの上から、子宮の中や子宮の裏にある細かいもの、卵巣などを検査する場合には腟から器械を入れて行います。)貧血の検査などをする場合もあります。

パートナーとの関係の中で性感染症が気になる人は、そのことを申し出てください。性感染症の中でも、最近はクラミジアや梅毒が増えてきています。はじめはたいした症状もないのですが、知らぬ間に進行して、腹膜炎を起こしたり、不妊になったりすることがある病気です。
体調が悪いという方は、貧血検査や肝機能検査や甲上腺機能の検査などをすることもあります。

このほか、症状によっていろいろな検査がありますので、「これが心配」ということを、申し出てください。

 「婦人科健診全般」とかブライダルチェックいうことだと、健康保険は使えないので数万円かかってしまいます。
風疹抗体の検査、子宮頸がん検査は自治体で、無料あるいは低額で受けられるので、この制度を利用しましょう。エイズや梅毒の検査は保健所で無料で受けられます。特定の保健所では休日も受けられるところがあります。
公費でできる検査を活用するのが賢いお金の使い方です。

半年前に閉経してから、汗をかくのがつらいので、ホルモン剤をもらって飲んでいますが、他の医者に行ったらホルモンは副作用があるから飲むなといわれました。私としては、ホルモン剤を飲んでからだいぶ楽になったので続けたいのですが、本当にそんなに危険な薬なのでしょうか?
40代の後半になると、卵巣ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量がしだいに低下するので、月経周期が不規則になり、やがて閉経を迎えます。この閉経前後の時期を更年期といい、のぼせ、動悸、肩こり、不安感などさまざまな症状が現れることがあります。半年前に閉経でしたら、突然汗をかくなどの症状は更年期のためと考えてよいでしょう。

更年期の症状には個人差があり、閉経後数年で落ち着くことも多いのですが、特につらい場合には薬を使った方が楽になります。のぼせに対してはホルモン補充療法が有効ですが、漢方薬が効く方もいます。

ホルモン補充療法とは、卵巣が分泌しなくなったエストロゲンを薬(飲み薬や貼り薬)で補ってやる方法で、エストロゲン低下によって起こるさまざまな症状(のぼせや動悸、腟の乾燥感、骨量の減少など)を改善させることができます。ただしこれを長期間使う場合には子宮体ガンの発生を予防するために、必ずプロゲスチン製剤も併用します。
(内科の病気のある方やガンの治療後の方などの中には、ホルモン補充療法ができない方もいます)

またホルモン補充療法を行っている方に、乳ガンの発生率がやや高くなるという報告もありますので、定期的に乳がん検診が必要です。ホルモン補充療法は、5年以上、60歳以上になると乳がんの発生率が高くなると言われているので、その頃をめどに中止した方がよいと言われています。ホルモン補充療法は中止するとリバウンドすることもあり、止め時が難しいのが難点です。

漢方薬にはホルモン剤のような即効性はありませんが、血のめぐりをよくして、からだのバランスをゆっくり改善させる効果があります。

薬の効果と副作用とはいわば扇子の裏表の様なもの、どんな薬でも絶対に副作用がないといいきれるものはありません。でも薬は、健康を維持する効果や快適になれるという効果が、副作用の心配を上回る場合に使用されるものです。ですから、手放しで薬に頼りきることも、副作用を過剰に恐れて必要な薬を止めてしまうことも、どちらも賢明なことではありません。つらいときには、薬の助けを借りてたちなおることも必要なのです。
気を付けたいのは、ホルモン補充療法をやっても「働きすぎても疲れないからだ」は作れないということ。からだをいたわり、無理の多い生活を見直すことも大切です。 若いときと同じペースで働いていたらだれだって疲れます。同じ更年期の症状でも、ゆったりしているときならやり過ごせるけれど、無理をしているとひどくなります。ホルモン剤で更年期を快適に過ごすお手伝いはできますが、これですべてが解決できるというわけではないのです。
当クリニックでは、患者さんとご相談の上でお薬をお出しします。
更年期のお薬を選ぶとき、「ともかく更年期のつらさから早く解放されたい」という方には、必要な検査を受けていただいた上で、ホルモン補充療法をいたします。ホルモン剤を希望されない方には、漢方薬を処方いたします。
あなたの希望を伝えてください。

おりものが多くてかゆいけれども、婦人科に行くのは恥ずかしい

外性器がかゆくなる原因はいろいろあります。
カンジダやトリコモナスによる腟炎、アトピーや湿疹、石けんやナプキンやおりものシートでかぶれた、あるいは腟の洗いすぎ、トイレットペーパーでこすりすぎ、などによることがあります。
またおりものが多い場合には、これらの他に、性感染症であるクラミジア感染症や淋病も心配です。

最近は清潔指向が過剰になっているためか、正常なおりものを気持ち悪がったり、おりものの臭いを嫌って洗いすぎる人がいます。しかしおりものには、腟の中を酸性にしてバイ菌の進入を防ぐ働きがあるので、腟のなかまで洗い流したり、おりものシートでおりものを全部吸い取ってしまうと、かえって乾燥してかゆくなったり、バイ菌が繁殖しやすくなったりします。
また月経量が少なくなったときに吸収性のよいパットを使っていると、かゆくなることがあります。外性器がおりもので適度に湿っているのは、あなたのからだにとって大切なことです。
(ただし、このおりものでも防ぎきれないのが性感染症ですから注意が必要ですが。)

 婦人科に行くのは恥ずかしいといって、市販の軟膏をつけてかえって悪化することもあります。性器も大切な自分のからだなのですから、恥ずかしいところではありません。婦人科で原因をきちんと調べてから、お薬を使って治すことが必要です。
腟を検査したら、抜き忘れたタンポンが入っていたと言うこともありますから、要注意です。
 
婦人科を受診するときに、腟の中を洗ってきてしまう方、腟坐薬を入れてきてしまう方がいますが、これは困ります。おりものの状態もわからなくなってしまいますし、検査をしても正しい結果が出ません。

月経のことで心配:月経前の不調があります

 四季がめぐるように、からだにも季節のリズムがあります。春になると気持ちがふさぐ人、暑さに弱くて夏バテするひと、秋になると夏の疲れで体調を崩すひと、冬は寒さに弱くて活動が鈍くなるとひと、どこかに苦手な季節があるのではないでしょうか。
 女のからだには、こういった一年の季節のめぐりとも似た、月々のリズムもあります。月の運行によって作られた太陰暦を使っていた時代、女のからだのリズムは月の満ち欠けと同じ周期をもっているので、月経(月を経る)とよばれるようになりました。昔の女性たちは「満月の頃になったら“月のもの”がくるはず」とか、「三日月の頃にくるはず」というように、お月様をながめながら自分の月経のくる日にちを予測していたのかもしれませんね。天体の運行と女のからだのリズムが一致しているというのは、あらためて考えてみるとおもしろいものです。

 月のリズムのうち、月経というイベントは出血があるので誰にでもはっきりと認識できますが、からだのひと月は、「出血がある月経時」と「月経でない時」というようなふたつの時期に分けられるのではなくて、出血がないときでもいろいろな変化が波のようにおこっているのです。それは女性のからだや性の働きを司る卵巣ホルモンが、月の満ち欠けと同じサイクルで、波のように増えたり減ったりというリズムを持っているからです。
 月経が終わったころは、からだが一番軽くなる時期です。月経の開始日から 2週間くらいたつと排卵が起こりますが、排卵日に向かっておりものが増えてくる、排卵時におなかの痛みや少量の出血があるなどで、排卵日が分かるひともいます。
 排卵が終わって次の月経が近づくにつれて、だんだんからだが重くなってくるなと感じるひともいます。月経がくる前というのは、1ヶ月のうちで卵巣ホルモンの量が一番増えるときなのですが、その影響で月経前症候群とよばれるゆううつなステージに入ります。頭が痛い、便秘する、いらいらする、眠くなる、甘いものが食べたくなるなどと感じるひとがいます。またおもしろいことに、月経前ではなくて排卵前(一日だけ卵巣ホルモンのエストロゲンが急に増える日)に一致して、からだの不快感を感じるというひともいます。きっとホルモンの変化にとても敏感なからだを持っているのでしょう。

 「ホルモンのバランスが崩れたのでは?」とか「更年期になったのでは?」と誤解するひとがいますが、月経前症候群が起こるのは、卵巣ホルモンがバランス良くリズミカルに分泌されている証拠みたいなものなのです。
 からだの声を聞いていると、同じ月経前症候群や月経痛でも、季節によってひどい月、ひどくない月がとあります。苦手な季節にはこういう困った症状も強くなり、快適な季節にはあまり苦になりません。女のからだって、困るなと思うときもありますが、それなりに自分のサイクルをつかんでしまうと、今月、今週、今日は、不調の日だからおとなしくしていようとか、のんびりしていようとか、からだにやさしく生活する習慣ができますよ。からだの記録、生活の記録をつけて自分のリズムを把握することから始めてみましょう。
当クリニックでは、このような月経前の症状を緩和するために、ピル(OC)、漢方薬などあなたのからだに合うお薬を処方することができます。